2018年04月13日

今月の鳥「クロジ」

日本野鳥の会が発行する「ワイルドバード・カレンダー」に
掲載されている野鳥について紹介します。

2018年4月の鳥はクロジです。
圧縮_4月_クロジ.jpg
撮影:畔上 正一 撮影地:長野県下高井郡

オオカメノキの枝にとまり、口を大きく開けてさえずっているところでしょうか。
きれいな白い花と新緑に、クロジの口の中の黄色が映えて鮮やかですね。
バードウォッチング歴2年の私は、まだクロジに会ったことがなく、
想像していたクロジの姿は、地味で目立たないイメージでした。
しかし写真のクロジは、絶妙なきれいな濃いグレーで、
懸命にさえずっている姿はとても輝いて見えます。
そこで、クロジについてもっと知りたくなり、
実際にクロジに会ったことがある人たちにクロジエピソードを聞いてみました!

★みんなのクロジエピソード★
まずは、ベテランバードウォッチャー(歴ウン十年)の室長とワイルドSに
クロジの印象について話を聞いてみました。

室長「名前から、会えると縁起の良いイメージで(「クロジ=黒字」という意味で)、
バンディングをすると会えるけど、普通のバードウォッチングでは、
今までに4回ぐらいしか会えていない鳥。」

ワイルドS「絶対にそこらへんにうじゃうじゃいるはずなのに、なかなか会えない鳥!」
なので、2人とも「年に1回でも会えたときは嬉しくて感動する」と話していました。

お次に、仕事の合間に東奔西走し、昨年度1年間で217種も観察した
元レンジャー・スタッフSSにも聞いてみました。
(ちなみにスタッフSSのおかげで、毎週のように美味しいお土産を食べることができ、
1年間胃と心がほくほくでした。笑)
「冬、うす暗い場所で小さなゴソゴソ音が聞こえて、ん?アオジ?と思って見ると、
鳥だけがモノクロ映画のようなグレーに見えて、クロジと気づきます。
みんながにぎやかに群れたり、シロハラが葉っぱをブン!と放りなげているそばで、
1羽ひっそりゴソゴソ…。色といい、存在感といい、なんだかミステリアスで素敵な鳥。」
ということでした。

華やかではないけれど、ベテランが会うのを楽しみにしているクロジ。
私もクロジに会いたい気持ちがますます募るばかりです。
posted by 野鳥ひなこ at 10:32| 今月の鳥 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月09日

今月の鳥「ニュウナイスズメ」

日本野鳥の会が発行する「ワイルドバード・カレンダー」に
掲載されている野鳥について紹介します。

2018年3月の鳥は「ニュウナイスズメ」。
【解像度低】3月_ニュウナイスズメ.jpg
撮影:臼田正人/撮影地:埼玉県鴻巣市

サクラの花をくわえる姿がかわいらしいですね。
…ところで、スズメって1種じゃないの?「ニュウナイ」ってなに??
私も学生の頃、そう思っていました。

日本では3種のスズメが確認されています。
皆さんが良くご存じの最も身近にいるのが「スズメ」という名のスズメ。
繁殖期は本州中部以北の積雪の多い地域におり、
冬期に関東や西日本で見られるのが、今月の鳥「ニュウナイスズメ」。
そして北海道や日本海側の島で確認されている、上記2種よりやや大きいのが「イエスズメ」。

ニュウナイスズメの名前の由来は諸説ありますが、
私が最初にニュウナイスズメの存在を知ったとき、
「ニュウ(にふ=斑)が無いスズメだから、ニュウナイスズメだよ」と教えられ、
へぇ!と非常に納得してしまいました。
黒い頬があるのはスズメ、ないのはニュウナイスズメ。
なんとも覚えやすい由来ですよね。

青森県における研究で、
同所的に繁殖したスズメとニュウナイスズメについての論文(蛯名ほか2015)があります。
それによると、調査地のスズメとニュウナイスズメは両種とも、サクラをよく利用していたようです。
巣立ち後の雛に、サクラについている虫やサクラの実そのものを給餌していたとか。
好きなのは、サクラの蜜だけではないみたいですね。

見ようとしないとなかなか見られないニュウナイスズメ。
学生時代を青森で過ごした私、なぜ見に行かなかったのかと悔やまれます…。

ニュウナイスズメもスズメも、これからの季節、サクラとの共演をお楽しみに。
ただ、彼らがサクラの蜜を吸うとサクラの花は落ちてしまいますけれど…。

***

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posted by 野鳥ひなこ at 10:39| 今月の鳥 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月16日

今月の鳥「マナヅル」

日本野鳥の会が発行する「ワイルドバード・カレンダー」に
掲載されている野鳥について紹介します。

2018年2月の鳥は「マナヅル」です。
ブログ用2月_マナヅル.jpg
撮影:西次郎/撮影地:長崎県諫早市

ツルというと赤い頭のタンチョウを思い浮かべる方が多いと思いますが、
日本には7種類のツルが確認されています。
マナヅルは、中国東北部とロシアの堺を流れるアムール川流域の湿原で繁殖し、
日本などの水田地帯で冬を越す渡り鳥。
体は青味がかった灰色で、尾にかけて白っぽい色をしています。
稲刈りが終わって、木枯らし一号が吹く頃に渡ってくるので、越冬地では
冬の風物詩になっているそうです。

昔話やことわざにも多く登場するツルですが、マナヅルを含む3種類が
IUCNや環境省レッドリストの「絶滅危惧種」に指定されています。
マナヅルを取り巻く現状について、自然保護室のスタッフIに聞きました。

Q マナヅルは越冬の集中化が問題になっているそうですね。
A はい、鹿児島県出水(いずみ)が、世界最大の越冬地となっており、
 世界中の生息数のおよそ半分にあたる約3,000羽が越冬します。
 出水には、ナベヅルというツルも越冬しており、現在合わせて
 16,000羽〜17,000羽のツルが集中しています。
 そのため、感染症が蔓延した場合に絶滅してしまう恐れや
 出水での農業被害が問題になっています。

Q どうしてマナヅルやナベヅルは、出水に集中しているのでしょうか?
A 昔は全国各地で見られましたが、湿地の開発や農地整備、乱獲によって、
 生息数や越冬地が減少しました。ツルが全国の里地から消えそうになったときに、
 出水で給餌や保護区の設置といった保護活動が始まり、絶滅の危機を逃れました。

Q マナヅルを守るために、必要なこととは?
A かつてのように出水以外にも、越冬できる場所を確保することが必要です。
 当会では、西日本を中心に、自治体や地域住民と連携しながら、
 越冬地を復元する活動に取り組んでいます。

絶滅の危機を逃れたものの、安心できるのはまだ先のようです。
古来より日本文化と関わりのあったツル。ツルと人との共生を目指した
取り組みが続けられています。

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posted by 野鳥ひなこ at 12:00| 今月の鳥 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする