2017年06月28日

「ツバメが巣を作った」

みなさん、こんにちは。
前回より少し間が空いてしまいごめんなさい。

さて、ツバメのヒナたちが、いよいよ巣立つ時期になりましたね。
きっとみなさんも、ちょっと足を止めて
「ん?何羽いる?イチ、ニ、サン・・・」と、巣を見上げているのでは?

最後にツバメのねぐら観察会についてのお知らせもあります!

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「ツバメが巣を作った---B酒屋さんとツバメと…」

“ ツバメがね、来ることを楽しんでもらいたいなぁ ”


今回、ツバメが巣を作ったのは東京と神奈川を流れる多摩川の中流くらい、
JR南武線沿いにある、酒屋さんの軒先です。

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「ちぃーさい身体で、ちょっとの泥を運んでさ、一生懸命作るの。見捨てられないよ・・・」

と語るのは、酒屋のFUJIYAさん。

「毎年、2回作るかなぁ…。お店の前と裏ね。」

駅前にあるお店は道路に面しています。
通勤や通学の方が朝夕はひっきりなしに通り過ぎ、自動車も多く通る場所です。

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「ツバメの巣が出来ると、昼間には近くの保育園の子が見に来たりするしね〜。」

ご主人は目を細めてうれしそうに言います。

「食品を扱うお店だからってわけじゃないけど、毎朝、店の前も(フンや羽を)掃除をして、
きれいにしているの。
あと、いつもなら開けちゃうけど、日よけをそのままにしておいたり、
夜は、ツバメが止まる場所の電灯は消したりね。」

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ツバメが巣を作るこの時期は、日常の習慣にもひと手間加えているようです。

「でもね、去年、目の前でツバメのヒナがチョウゲンボウに持ってかれたの!!
もう、びっくりしちゃってさぁ。
足が太くてびっくりだよ。あんなの初めて見たよ!!何年もツバメの巣を見て来て、初めてだよ!」

と、その時の状況を興奮気味に話してくれました。

「チョウゲンボウがね、巣の前でホバリング(※)して、1羽ずつ持ってくんだよ…。やんなっちゃうよ〜」
※空中で停止飛行すること

「でもさ、彼ら(チョウゲンボウ)も生きて行かなきゃいけないから、ちょうど同じように子育てしているだろうから…
悪いとかそう言うことじゃなくて…」

「街で狩りって言うのかな? それをするって、彼らも住む場所が変わってるってことだと思うし…」

と、少しさみしそうに話します。

「自然とはそういうもの!」

ご主人はそう言いながらも、ツバメの巣を守る為にあれこれ策を練っていると、
倉庫からお手製の防護柵を持って来て見せてくれました。

「去年の件があまりにも目に焼き付いていて、衝撃的でね。何も出来なくて…無力だったね。」

ご主人はその時に巣があった場所をじっと見ます。

「色々考えたよ。大きさとか高さとか。ホームセンターで色々買って来て考えるの。」

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ツバメの巣を守るための工夫を楽しそうに、真面目に、そして熱心に話してくれたご主人。

「ツバメがね、来ることを楽しんでもらいたいなぁ」

今年は、去年と違う場所に巣を作っていたので、この防護柵の出番はまだなさそうです。


「私は、ずーっとここらの育ち。登戸と稲田堤(神奈川県川崎市)へ小中と通っていたの。
ここらはね、畑ばっかりだった。梨畑とかね。まだ少し、残っているけど減ったね。
13年前に道路の整備でうちも入り口の向きが変わったりして。」

生まれ育った街の変化を感じつつ、毎年やって来るツバメに優しい眼差しを向けます。


「どこも安くモノとかを売っているでしょ?
もちろんみんな安く買いたいとは思うからなんだけど、それって中間の誰かが我慢したり、
削られたりしているんじゃないかなって思うわけよ。難しいことだよ。」

昨年の巣で、身近な自然界の厳しい現実を見たご主人は、ツバメの巣を守ろうとすることも決してノスタルジックな感情からだけではないと言い、言葉を続けました。

「人間関係だってそう、ギスギスして、他人に興味が無いとか、自分だけがよければいい風潮とか…
他のことへのちょっとした優しさが、少し見えなくなって来ているよね。
そんな最近の事を思い始めたら、昔は良かった・・・って言いたくなる時もあるね。」

昔からわたしたちの身近にいるツバメ。
みなさんのちょっとした優しさに助けられています。
便利で快適な暮らしをしている今だからこそ、失ってはいけない風景があると、
わたしたちは気付いているはずです。

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みなさんは 「ツバメのねぐら」 ってご存知ですか?
この酒屋のFUJIYAさんの近くを流れる多摩川にも「ねぐら」はあります。
今、ちょうどツバメたちは子育て真っ最中。
巣立った子ツバメたちや、子育てを終えた親ツバメたちは、秋ごろの渡りのための準備をします。
昼間は市街地周辺で過ごし、夜になると近隣の河川敷などに集結して休むのです。
それが 「ツバメのねぐら」 です。
日本野鳥の会では、そのツバメのねぐらをまとめた「ツバメのねぐらマップ」を
お配りしています!
ご興味のある方はぜひ、下記のリンクからお申込み下さい。
https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/supervisor-and-lending/swallow-roost-map/

また、各地の支部で「ツバメのねぐら入り観察会」も行っています。
詳しくはこちら!
https://www.wbsj.org/activity/event/swallow-roost-observation/

野鳥の観察会としては珍しい、夜の観察会です。

ぜひ!いらして下さいね。
きっと、色んな軒先で生まれ育った子ツバメたちも集結しているでしょう!

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posted by 野鳥ひなこ at 11:29| ツバメ2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

「ツバメが巣を作った」

「ツバメが巣を作った---A湘南発祥の地編」

“ちょっと嬉しい事。今日はいいお天気”


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今回、「ツバメが巣を作った」のは、周辺の目まぐるしい変化を横目に、
凛とした雰囲気が漂う神奈川県の大磯町です。

ここに、夫婦と1匹のビーグル犬(クリス)で住み始めたのは8年前。
結婚して3年目の時でした。

「ツバメは…確か、2014年。初めて来たから嬉しくてSNSにアップしたの。」

そう話すのは大磯町出身、奥様のユカコさん。
そして、スマートフォンの画面を見せてくれました。
その投稿には、自宅近くの電線に止まるツバメの写真と共に、こんなコメントを載せていました。

”ちょっと嬉しい事。今日はいいお天気。我が家、ムクドリはよく来るけど、今年は初めてツバメが巣を作りに来ました。無事に卵から孵って巣立って欲しいな”  ------ユカコさんのSNSから引用


「この家を建ててから、いつか来てほしいなぁと思っていて、どうしたら巣を作ってくれるかなぁと
友人に聞いたりして、台とかも付けてみたけどなかなか来なくて…。
だから3年前に来たときは嬉しかったなぁ。」

空を見上げながらユカコさんは声を弾ませます。

「今年も作り始めている。二階の窓に近いから、その窓からちょっと覗いたら、
ツバメに怒られた!(笑)
だから、もう覗いてない。でも気になるの〜(笑)
まだ卵は産んでないのかなぁ。」

庭から自宅の外壁を覗きこむと、屋根の近いところに巣があります。

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「去年のやつに、足しているでしょ。色がちょっと違うよね。」
ツバメの巣がツートンカラー、去年の巣に高さを足しています。

「この辺りのお家は工夫していて、玄関に巣を作られるのはちょっとなぁ〜ってお家は
そこに来られないようにしていて。
でも家の外側はウエルカム!!みたいに、色々とあります。」

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ツバメが自宅に巣を作るようになってから、

「今まで何気なく歩いていたけど、こんなに鳥の声がするんだなぁ」

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と、愛犬の散歩中も気付く事が多いと二人は話してくれました。

「ここはね、横浜よりも30秒くらいゆっくりしている」 と笑うのは、ご主人のフミさん。

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以前、仕事の関係で2人は横浜市内に住んでいました。
忙しい日々…時には体調を崩すこともありました。
「お互いに心配をかけたくない…」
優しさが空回りする時期もありました。

“もう少し、のんびりした暮らしがしたい”
“愛犬のクリスが走り回れる所があったらなぁ”
“家を取り囲む庭があったらいいなぁ”
“縁側が欲しいなぁ”

そこで二人は、休日をどう過ごすかを考え始めたのです。
「通勤に時間はかかるけど、まぁ(電車に)乗ってしまえばね」と、
少し職場から離れたユカコさんの地元へ引っ越すことを決めました。

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「もちろん、(ツバメを)歓迎している人も、していない人もいるとは思うんだけど、
こんな風に戻って来てくれるなんて嬉しい。」

と、二人は言います。

たまたま出会った私たちとツバメ。
海風吹くここにも、やって来ました。
新緑の中、スイスイと飛ぶ姿は、私たちと同じように心地よい場所を探しているのかもしれません。

次の休日に、あなたも空を見上げてみませんか?

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posted by 野鳥ひなこ at 14:33| ツバメ2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月22日

「ツバメが巣を作った」

いつもこのブログを読んでくださっている方々、初めてこのブログを目にした方、
最近、空を見上げていますか?
今の時期、南の国から渡って来たツバメたちが、私たちの頭上を飛び交います。

ツバメは私たちの身近な場所、例えば・・・鉄道の駅やバス停、高速道路のサービスエリア、
いつも行くスーパーマーケットの軒先、家の玄関口や倉庫・・・
せっせと巣を作り、そして子育てをしています。
日本には、その姿を当たり前のように見守る方々がたくさんいるのをご存知かと思います。

今回、このブログで 『ツバメが巣を作った』と題して、ツバメと私たちの物語を
数回に分けてお伝えしたいと思います。

さて、むずかしいことはぬきにして、忙しい日々を送る皆さんに少しだけ、
心温まるストーリーを。
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「ツバメが巣を作った----@自動車修理工場編」

 “夕方になると鳴きながらスーッと入ってくる”


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東京都心から20キロに位置する調布市。
武蔵野台地と多摩川に隣接した、緑がまだ多く残る住宅地です。

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「雨が降らないと、いい巣が出来ないね。泥が運べないよね。」

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そう話すのは、国道20号線の側で、自動車修理工場を営むサトルさん。
サトルさんの自動車工場には、10年前から毎年、ツバメが巣を作っています。

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「今年も、もう来てるよ。夕方に来るよ。夜はここで寝て、昼間はどっかへ行ってるね。
夕方になると鳴きながらスーッと入ってくるの。かわいいよねぇ。」

そう話していた矢先、スーッと入り口から1羽、続いてもう1羽が工場内へ。
外は夕焼けで、オレンジ色の光があらゆるものを包み込みます。
今年も、いつもと同じようにツバメが来ていました。

「だいたい2回(巣を作りに)来るよ。もう10年以上かなぁ。毎年、1つってことはないの。
いつも2つ作る。だからあそこは電気も消している。
点けたら、ほら、ツバメも熱いでしょ?夏になるし…」

と、昨年、巣立った場所を指差します。

「落ちるんだよね、ヒナが。そうしたらあの箱に入れると、ちゃんと親がそこに来て、育てるの。
不思議だよね。」

天井を見上げると、巣の近くには、小さな箱が2つ設置されています。

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「夜は、工場のシャッターをすこーし開けておくの。そしたら、親も出入り出来るじゃない?」

この時期、仕事を終えた工場のシャッターはツバメのために少し開けておきます。
一緒に働く従業員の方々も慣れた手つきでシャッターの隙間を調整します。

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サトルさんは、千葉県の富津から中学卒業と同時に上京をしてきました。

「最初はね、三宿(東京都世田谷区)の自動車工場に住み込み。いい人ばっかりだったけど、白いご飯をおかわりする事が言えなくてね…いつかいっぱいご飯を食べたいと思ったよ」

と語るサトルさん。
3番目のお子さんが産まれた70年代、独立をしました。
その3番目のお子さん、ヒデキさんも今は一緒に工場を切り盛りしています。

「昔はさ、田舎では(ツバメは)軒下に巣を作ったよね。今はこうやって天井だけど、(ツバメが来るのが)楽しみだよ。」

お孫さんのカズマくんがちょうど遊びに来ていて、「じぃじ、じぃじ」とサトルさんの作業着を
ひっぱります。
そして、カズマくんも「うん、ツバメ来るよ。おかえり〜って言うの」と得意顔で話す小さな姿は
とても大きく見えました。

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「仕事が終わったら孫(娘さんのお子さん)とお風呂入るのが楽しみ。ちゃっかりしてるよね、娘も。お風呂入る時に預けちゃうの。」と笑います。

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たくさんの人生に寄り添うように暮らしているツバメ。
秋に日本を旅立つまで、未来へ命を残すことに必死になります。

「当たり前のことをしているだけ」
と、サトルさんは静かに言います。

私たちとツバメが暮らす街。
あなたも、ふと、空を見上げてみませんか?



ラベル:ツバメ 子育て
posted by 野鳥ひなこ at 15:21| ツバメ2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする