この冬は3シーズンぶりに、国内で高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)の野鳥での確認例が報告されるようになりました。
鳥インフルエンザは、鳥の病気です。養鶏場などのように鳥と濃密な接触をすることがない限り、人への感染は過度に心配する必要はありません。しかし、バードウォッチングによって、知らず知らずのうちにウイルスを運んでしまい、被害の拡大に加担してしまうことがあり得ます。
ここでは、このようなことを避けるためにはどのようなことに気を付ければよいのかについてお伝えします。
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【水辺でのバードウォッチングの注意】
鳥インフルエンザは、カモ類などの水鳥が主な宿主とされています。水鳥が集まる池や湿地、湖でバードウォッチングをするときには特に注意が必要です。
バードウォッチングによってウイルスを広げてしまうケースとは、靴や車のタイヤなどに付着したウイルスを周囲の養鶏所などへ移動させてしまうことを想定しています。
そこで、以下の点に配慮していただくようにお願いいたします。
(1)水鳥の糞が多量に落ちているような水際まで近寄らないようにしましょう。
(2)探鳥場所から移動する前には、靴底、三脚の足、自動車のタイヤなど、地面に接したものを消毒しましょう。汚れが残っていると効果が低下しますので、泥をよく落としてから消毒しましょう。消毒薬には「消毒用アルコール」が入手しやすく、おすすめです。
※消毒薬は使用上の注意に従って十分注意して使用してください。
(3)できれば、 1日のうちに、複数の探鳥地を行き来しないようにしましょう。どうしても必要な場合は、移動の前に消毒をしましょう。
(4)帰りに、養鶏場やアヒル等の飼育場、動物園などには近づかないようにしましょう。
【野鳥の死体を発見したら】
野鳥の死体を発見したら、都道府県の鳥獣保護関係部署に相談してください。
このとき直接、素手で死体に触れるのは避けてください。野鳥の状況をこまめに把握し、いち早く異変に気付くことは、被害を最小限に抑えることに繋がります。
行政に報告しても、実際に死体が回収され、鳥インフルエンザの検査が行われるかどうかは、野鳥の種や死体の数によって異なりますが、連絡を密にして情報を集約することには意味があります。
【鳥インフルエンザが近くで確認されたら】
鳥インフルエンザが発生した探鳥地に行くのは控えましょう。
ウイルスが増殖している場所に大勢の人間が押し掛けることは、それだけウイルスの拡散を助長させる恐れがあります。
また、観察場所の半径10kmの範囲で鳥インフルエンザが確認された場合も、念のため、バードウォッチングの予定を中止するなどご検討下さい。
【最後に】
冬の水辺は見どころが多く、バードウォッチングに出かける機会が多い季節と思います。いつもにもまして、野鳥への配慮、社会への配慮が必要な状況となってきています。適切な対策をとることで、周囲の理解を得ながら、バードウォッチングを楽しんでいただけますようご協力をお願いします。
◆野鳥と高病原性鳥インフルエンザ(日本野鳥の会HP)
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/