2017年05月22日

「ツバメが巣を作った」

いつもこのブログを読んでくださっている方々、初めてこのブログを目にした方、
最近、空を見上げていますか?
今の時期、南の国から渡って来たツバメたちが、私たちの頭上を飛び交います。

ツバメは私たちの身近な場所、例えば・・・鉄道の駅やバス停、高速道路のサービスエリア、
いつも行くスーパーマーケットの軒先、家の玄関口や倉庫・・・
せっせと巣を作り、そして子育てをしています。
日本には、その姿を当たり前のように見守る方々がたくさんいるのをご存知かと思います。

今回、このブログで 『ツバメが巣を作った』と題して、ツバメと私たちの物語を
数回に分けてお伝えしたいと思います。

さて、むずかしいことはぬきにして、忙しい日々を送る皆さんに少しだけ、
心温まるストーリーを。
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「ツバメが巣を作った----@自動車修理工場編」

 “夕方になると鳴きながらスーッと入ってくる”


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東京都心から20キロに位置する調布市。
武蔵野台地と多摩川に隣接した、緑がまだ多く残る住宅地です。

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「雨が降らないと、いい巣が出来ないね。泥が運べないよね。」

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そう話すのは、国道20号線の側で、自動車修理工場を営むサトルさん。
サトルさんの自動車工場には、10年前から毎年、ツバメが巣を作っています。

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「今年も、もう来てるよ。夕方に来るよ。夜はここで寝て、昼間はどっかへ行ってるね。
夕方になると鳴きながらスーッと入ってくるの。かわいいよねぇ。」

そう話していた矢先、スーッと入り口から1羽、続いてもう1羽が工場内へ。
外は夕焼けで、オレンジ色の光があらゆるものを包み込みます。
今年も、いつもと同じようにツバメが来ていました。

「だいたい2回(巣を作りに)来るよ。もう10年以上かなぁ。毎年、1つってことはないの。
いつも2つ作る。だからあそこは電気も消している。
点けたら、ほら、ツバメも熱いでしょ?夏になるし…」

と、昨年、巣立った場所を指差します。

「落ちるんだよね、ヒナが。そうしたらあの箱に入れると、ちゃんと親がそこに来て、育てるの。
不思議だよね。」

天井を見上げると、巣の近くには、小さな箱が2つ設置されています。

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「夜は、工場のシャッターをすこーし開けておくの。そしたら、親も出入り出来るじゃない?」

この時期、仕事を終えた工場のシャッターはツバメのために少し開けておきます。
一緒に働く従業員の方々も慣れた手つきでシャッターの隙間を調整します。

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サトルさんは、千葉県の富津から中学卒業と同時に上京をしてきました。

「最初はね、三宿(東京都世田谷区)の自動車工場に住み込み。いい人ばっかりだったけど、白いご飯をおかわりする事が言えなくてね…いつかいっぱいご飯を食べたいと思ったよ」

と語るサトルさん。
3番目のお子さんが産まれた70年代、独立をしました。
その3番目のお子さん、ヒデキさんも今は一緒に工場を切り盛りしています。

「昔はさ、田舎では(ツバメは)軒下に巣を作ったよね。今はこうやって天井だけど、(ツバメが来るのが)楽しみだよ。」

お孫さんのカズマくんがちょうど遊びに来ていて、「じぃじ、じぃじ」とサトルさんの作業着を
ひっぱります。
そして、カズマくんも「うん、ツバメ来るよ。おかえり〜って言うの」と得意顔で話す小さな姿は
とても大きく見えました。

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「仕事が終わったら孫(娘さんのお子さん)とお風呂入るのが楽しみ。ちゃっかりしてるよね、娘も。お風呂入る時に預けちゃうの。」と笑います。

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たくさんの人生に寄り添うように暮らしているツバメ。
秋に日本を旅立つまで、未来へ命を残すことに必死になります。

「当たり前のことをしているだけ」
と、サトルさんは静かに言います。

私たちとツバメが暮らす街。
あなたも、ふと、空を見上げてみませんか?



ラベル:ツバメ 子育て
posted by 野鳥ひなこ at 15:21| ツバメ2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする